ガマの油売り
古い資料を整理していたら、こんな文章が出てきました。
ガマとはヒキガエルのことである。このヒキガエルから採集される分泌液を、ガマの油という。成分はブフォニンで、強心興奮作用があり、その塗り薬は、あかぎれなどの治療に使用された。この塗り薬を売るときの香具師の口上が有名な「1枚が2枚、2枚が4枚」というものである。香具師は刀を持っていて、懐から取り出した1枚の紙を半分に折り曲げ、切る。2枚になる。これをさらに半分に折り曲げ、切ると4枚になる。8枚になる。良く切れるのだということを示し、このあと、手の甲などを、刀で軽く切って(絵の具が仕掛けてあるのかもしれないが)血を噴き出させたあと、塗り薬を塗る、という段取りになっている。
これはあくまでもパフォーマンスである。1枚、2枚、4枚、8枚のあと、さらにこれを続けるとどうなるか、ということの方が面白いだろう。
次に挙げる数字が何を示しているか、分かるだろうか。
0 | 1 |
10 | 1,024 |
20 | 1,048,576 |
30 | 1,073,741,824 |
これはそれぞれ、2の0乗、2の10乗、2の20乗、2の30乗を示している。つまり、刀で1枚の紙を10回、切ると、1,024枚になるということだ。たった10回の行為で1,000倍になってしまうところが面白い。20回の行為で100万倍、30回の行為で、なんと10億倍である。紙の厚さが10分の1ミリだったとしても、100キロメートルになる。厚さが100キロメートルである。そもそもこんな厚い紙を刀で切ることなどできないし、半分に折り曲げることもできないだろう。
10乗分、増えるごとに、カンマが一つずつ増えているが、どれもかなり切りのいい数値になっている。この3桁ごとにカンマを付ける方法は、英語における習慣である。数え方も、thousand(千)、million(百万)、billion(十億)、と3桁ごとに呼び方が変わっていて、合理的なように思える。なぜ、英語の数え方は3桁なのか、ということの答えになっているのかもしれない。英語圏の人たちは、2の10乗がほぼ1,000になることを知っていたからではないか。
20 | 1 | 一 | one |
210 | 1,024 | 千 | thousand |
220 | 1,048,576 | 百万 | million |
230 | 1,073,741,824 | 十億 | billion |
[ 2014年10月10日 | カテゴリー: 豆知識 | タグ: chidori , 数学 ]
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