公立中学校に増える「抽象名系」の校名

最近、公立中学校の校名を見ていると、「○○中学校」のような地名系ではなく、「明倫」「創和」「翔成」といった、場所が分からない抽象名系の名前が増えているように感じます。なぜこのような傾向が生まれているのでしょうか。整理してみます。

抽象名系が選ばれやすい理由

統廃合による中立性の確保

最大の理由は、学校の統廃合です。複数の中学校を一つにまとめる場合、特定の地名を校名にすると、旧校間で「どちらが中心か」といった感情的な対立を招きやすくなります。そのため、どの地域にも直接結びつかない抽象名系が「無難な選択」として選ばれやすくなります。

学区変更への耐性

地名系の校名は、行政区画や学区の変更によって実態と合わなくなることがあります。一方、抽象名系であれば将来の変更に左右されにくく、行政側にとって扱いやすいという事情があります。

教育理念を名前に込めたい意図

「明」「和」「創」などの漢字を使い、教育理念や理想像を校名で表現したいという考えもあります。校名公募を行うと、こうした抽象名系の案が集まりやすい傾向も見られます。

抽象名系への反対意見

所在地が分かりにくい

最も多い反対意見は、校名から場所が分からないという点です。災害時や対外的な説明、進学資料などで不便だという実務的な問題があります。

地域の歴史が失われる

地名系の校名は、その土地の歴史や記憶を背負ってきました。抽象名系に変わることで、地域との結びつきが薄れることへの違和感や反発も根強くあります。

画一的で中身がないという批判

似たような漢字を使った校名が増え、「どこも同じで空疎だ」「公立学校なのにブランド志向ではないか」といった批判もあります。また、公募が形式的で、結論ありきではないかという不信感が示されることもあります。

最近の傾向は地名系か抽象名系か

明確な全国統計はありませんが、全体としては依然として地名系が多数派です。古くからある学校はもちろん、統合新校でも住民側は地名系を望むケースが少なくありません。

ただし、統廃合や再編という場面に限ると、抽象名系が選ばれる割合は確実に増えています。対立回避や調整コストの低さを重視した結果といえます。

地名系と抽象名系の使い分け構図

まとめると、

  • 通常の設立では地名系
  • 統廃合などで調整が必要な場合は抽象名系

という構図が見えてきます。

「明倫」のような校名自体は、藩校などに由来する伝統的な言葉でもあります。しかし現代の公立中学校では、理念を優先するあまり土地との結びつきが見えにくくなり、「意味が分からない」と受け取られてしまいます。この違和感こそが、現在各地で繰り返されている校名論争の背景なのだと思われます。

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