世界一タイピングが速いとギネスブックに載っているのがバーバラ・ブラックバーンというアメリカ人女性。
彼女は、1分あたり170語というスピードでタイプをして世界記録を作った。
この人はドボラク配列(Dvorak配列)を使った。
キーボードのキーの配列は、QWERTY配列が一般的である。
日本人が使うパソコンのキーボードはほとんどがこのQWERTY配列になっている。これはキーボードの下から3段目が左からQWERTYとなっているものある。
パソコンのキー配列はタイプライターのキー配列を元にしている。
タイプライターが世に出現した頃のキー配列はアルファベット順であったらしい。
その後、いろいろと改良が加えられ、現在のQWERTY配列が一般的になった。
タイプライターはキーを押すと印字ハンマーが次々に飛び出し紙を叩いて印字する。
速く打ちすぎるとこの印字ハンマーが絡み合ってしまう。
QWERTY配列はこの絡み合いを防ぐように考えられて考案された。
キーの打ちやすさは考慮されていない。
「TYPEWRITER」という文字列はQWERTY配列の下から3段目のキーですべて打つことができる。昔、タイプライターのセールスマンが客の目の前で素早く打ってみせるのが目的だと言われる。しかし実際にはそれほど速くは打てないので、おそらく偶然である。嘘だとは言え、この話を思い付いた人は偉い。
タイプライターがやがて電子タイプライター、パソコンと変化し、印字ハンマーなどがなくなっても、QWERTY配列は使われ続けた。
そこで打ちやすさを重視した配列がいろいろ考案された。
その一つがドボラク配列である。
ドボラク配列はドボラク博士が考案した。
Dvorakと綴るが、これは作曲家のドヴォルザークと同じ綴りである。実際にドボラク博士とドヴォルザークは親戚である。
ドボラク配列はQWERTY配列に比べ、打ちやすく、タイピングの習得が簡単であると言われている。
QWERTY配列は
QWERTYUIOP
ASDFGHJKL
ZXCVBNM
となっているのに対し、Dvorak配列は
PYFGCRL
AOEUIDHTNS
QJKXBMWVZ
となっている。
随分珍妙な並び方のように思えるが、実際、こちらの方が打ちやすいらしい。
もし体験してみたいという方は簡単に試せる。
WindowsパソコンでMS-IMEを使っているならば、コントロールパネル-キーボード-入力ロケール-プロパティと辿り、キーボードレイアウトで「米国-Dvorak」を選択すると体験できる。
しかしこれは英単語を入力する場合の話で、日本語をローマ字入力する場合、子音と母音がペアになり、必ず母音を入力する必要がある。
Dvorak配列を見ると分かるのだが、母音がすべて左手に集中している。このため、日本語のローマ字入力には向かないらしい。
コメント
「QWERTY配列はこの絡み合いを防ぐように考えられて考案された」というのは、どうもガセネタのようです。このネタは、August DvorakがQWERTY配列を攻撃するために『Cost of Teaching Typewriting Can Be Greatly Reduced』(The Nation’s Schools, Vol.11, No.5 (1933年5月), pp.39-42)で言い出したものですが、この論文には根拠が全く述べられておらず、正直なところQWERTY配列に対するイチャモンのように思えます。どうガセネタか、については、よければ私のページの『QWERTY配列再考』をごらん下さい。
>安岡さん
読ませていただきました。よく分かりました。他にも腑に落ちなかった部分、特に「タイプライターとパソコンのキー配列がなぜ同じか」という部分、納得しました。
他の論文についても読ませていただきます。
ありがとうございました。
うわあ、でもこのブログの文章が専門家の人に読まれちゃったなんて、恥ずかしいなあ。