Peace Sells...But Who's Buying? - Megadeth

「メガデス」は核兵器の威力を表す単位だと言われる。「メガ」は百万、「デス」は死者。つまり何百万人死ぬかで核兵器の威力を表す。
まだアマゾンがない時代にメガデスのニュー・アルバムをCDショップで予約したことがある。何度言っても店員は「メガデス」が聞き取れず、注文票には「メガです」と書かれていた。どのアルバムかは忘れた。

彼らの音を初めて聴いたのは、このアルバムのタイトル曲「Peace Sells」だった。テレビのハード・ロック番組でプロモーション・ビデオを見たのである。イントロは、バスドラムが四拍子を鳴らし、その上にベースの奇妙なフレーズ。そしてスラッシュ・メタルの特徴でもあるザクザクとしたギターのリフが重なる。ボーカルのデイヴ・ムステインの上手くない歌が乗る。彼の特徴的な声を良いと思うようになるのはずっと後のことだ。

デイヴ・ムステインはかつてメタリカのギタリストであった。ある日、他のメンバーから地元に戻るための長距離バスのチケットを手渡され、彼はクビを宣告される。停留所まで見送りに来たのはジェームズ・ヘットフィールドだった。クビの原因はドラッグか何かだったと言われていたと思う。後にデイヴ・ムステインはギターとボーカルを兼ねる。これはヘットフィールドと同じポジションである。これも原因だったのではないかと思う。
メタリカを追い出されたデイヴ・ムステインは自らのバンドを結成する。それがメガデスである。
メタリカが特徴的な声と安定したギター演奏のジェームズ・ヘットフィールド、天才的な企画力を持つドラマーのラーズ・ウルリッヒ、独特な風貌と演奏のベーシストのクリフ・バートン、ジョー・サトリアーニに師事したリード・ギタリストのカーク・ハメットとキャラクターが揃っている。
これに対し、メガデスはデイヴ・ムステインのワンマン・バンドである。ベーシストはデイヴィット・エレフソンだがドラマーともう一人のギタリストはアルバム毎に替わると言ってもいいほど流動的だ。
デイヴ・ムステインはメガデスで成功することでメタリカに復讐を誓う。彼は一人で様々な楽曲を作り出しメガデスを成功に導く。このソングライターがメタリカにいたらどうなっていたかと想像すると楽しい。遅かれ早かれ追い出されていたと思うが。
メタリカは自身のジャンルをスラッシュと呼ばれることを嫌っていたらしいが、逆にデイヴ・ムステインは自身の音楽を「インテレクチュアル・スラッシュ」と呼んでいた。「slash」は切り刻むというような意味でヘヴィ・メタルの攻撃的な部分をさらに押し進めた。メタリカはこれをバカっぽいと思ったのかもしれないし、デイヴ・ムステインも同じように思っていて、あえて「理知的なスラッシュ」と呼んだのかもしれない。

このアルバムには、上述の通り、ベースから始まる曲、ギターのアルペジオで始まる曲、など確かに勢いだけのスラッシュ・メタルとは一線を画すバラエティに富んだ曲が並ぶ。
彼はこのアルバムでメジャー・デビューを果たす。
最初のアルバムは「Killing Is My Business...And Business Is Good!」、次のアルバムは「So Far, So Good...So What」である。三作続けて「xxx...yyy!」というタイトルを踏襲した。

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[2015-02-22]

Megadeth,1986年

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