The X Factor - Iron Maiden

アイアン・メイデンのニュー・アルバムがついに出た。待ちに待ったといった感じだ。コンスタントにアルバムを発表するバンドは、内容の善し悪しにかかわらず、アルバムが出るとつい、買ってしまうものだ。アイアン・メイデンの今回のアルバムも内容の善し悪しを考えることなく、買ってしまった。良いか悪いかは買って聴いてみて自分で判断する。それがいい。
さて、今回のアルバム「ジ・Xファクター」の出来はどうだったか。一言でいうならば、まあまあの出来、といえる。アイアン・メイデンらしいアルバムだ。しかし、難点が一つある。そう、ボーカルである。
前作まで在籍し、歌っていたのはブルース・ディッキンソンである。抜群の歌唱力とステージ・パフォーマンスの説得力で、アイアン・メイデンの原動力となってきたメンバーである。その彼が、脱退してしまった。ベーシストでリーダーでもあるスティーヴ・ハリスがいればアイアン・メイデンはアイアン・メイデンである、という意見がある。それは確かだ。しかし「アイアン・メイデンらしい」ということと「良いアルバムである」(あるいは「良い曲である」)ということは違う。アイアン・メイデンが好きで好きでたまらないという人は「アイアン・メイデンらしい」イコール「良い」ということになるかもしれないが、そうとも限らない。
確かに、アイアン・メイデンには駄作が少ない。私自身の好みの基準に照らし合わせてみると、さらに、かなり甘くなって、アイアン・メイデンには駄作がないといっても良い。
しかし、かなり甘く見ても、今回のアルバムのボーカルは心配だ。ライヴで昔の歌を十分に歌うことができるのだろうか。音程の不安定さはだ。そしてワイルドな側面ばかりが強調されているようである。ブルース・ディッキンソンの場合はワイルドでありながら、モダンな部分もあったような気がする。アイアン・メイデンが新しい面を見せた、「セヴンス・サン・オヴ・ア・セヴンス・サン」のムード、モダンなムードを醸し出すのに、ディッキンソンの声は非常にしていた。ヘヴィ・メタルへのモダンなアプローチというものが、その前後のアイアン・メイデンの魅力の一つになっていたように思われる。
残念ながら、新ボーカリスト、ブルース・ベイリーにはそれが、ない。

ニュー・アルバムはあまりに冗長なナンバー「サイン・オヴ・ザ・クロス」で幕を開ける。イントロの長いこと、長いこと。これがかつてのアルバムで聴かせたような、ツイン・リードのリフであれば面白いのだが、今回のは、違う。つまらない。早送りボタンが付いていて良かった。つまらないオープニングはとにかく面倒だ。あの巨体ボーカリスト、スティーヴ・グリメットが在籍していたときのオンスロートの「イン・サーチ・オヴ・サニティ」はいいアルバムだが、一曲目のインストゥルメンタルが、本当に退屈で詰まらない。これ以外の曲は素晴らしいのに、勿体ない。一曲目から速い曲で飛ばしていってもらっていたら、このアルバムの評価も変わっていたかも知れない。やはりCDプレイヤーに早送りボタンが付いていて良かったと思った。

※この記事は1995年に書かれたものです。

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