Virtual XI - Iron Maiden

アルバムのタイトルに数値を使うケースがある。
代表的なのがシカゴである。ほとんどのアルバムがバンド名と序数の組み合わせである。
ファーストが「Chicago Transit Authority」、セカンドが「Chicago」と変則的だが、以後は原則として「シカゴ」と序数の組み合わせなので、何枚目のアルバムか、すぐに分かる。面白いのはベスト盤などもカウントに入れているところで、最新作は「Chicago XXXVI」らしい。三十六枚目である。この辺はいずれさらに詳しく書きたい。

アイアン・メイデンは七枚目に「セブンス・サン・オブ・ア・セブンス・サン」と名付けた。
その後、ブルース・ディッキンソンが脱退し、ブレイズ・ベイリーを加入させた際の十枚目を「ジ・エックス・ファクター」とした。「X」はローマ数字の十である。
十枚目は記念であるから良しとするが、続く十一枚目を「バーチャル・イレブン」としたのはいかがなものか。

しかし本当の問題はボーカルを前作に引き続きベイリーにしたことである。
ディッキンソンに比べると声域が狭いのは明らかである。曲はそれに合わせているから特に問題ない。
気になるのは、三曲目の「ライトニング・ストライクス・トゥワイス」である。サビの部分の速い節回しに歌唱が追い付いていないように聞こえる。もっともこれはベイリーだけのせいにはできない。「Maybe lightning strikes twice」という歌詞が詰まっているのが問題だが、「Maybe lightning」と「strikes twice」の両方をベイリーに歌わせている。後半の「strikes twice」はコーラスとして別の誰かが歌えば済む話である。

ベイリーの歌の酷さはディッキンソン時代の曲をライブで聴くと分かる。YouTubeで見ると明らかに文化祭のレベルである。
声域も問題だが、ステージ上に直立不動、マイクを両手で包み込むような歌い方で、浅田美代子もびっくりである。
逆にディッキンソンがベイリー時代の曲を歌うと名曲に聴こえる。

余談だが、ブルース・ディッキンソンがディープ・パープルの楽曲を歌うライブをYouTubeで見ることができる。例えば「バーン」。

(リンク切れ)

ジョン・ロードの追悼コンサートらしく他にも色々見られる。ディープ・パープル、ホワイトスネイクのメンバーが参加している上、オーケストラまで入っていて、何故、この中にディッキンソンが混じっているのか、不思議だ。そのくせ、一番、目立っているから偉い。

話を元に戻す。
アルバムの不出来をベイリーのせいばかりにするのは酷である。
曲の構成が似たものが多い。一曲目はイントロからギターのリフがフル・スロットルのスピード・チューンだが、二曲目からはすべての曲が静かなパートから始まり、その後の緩急の違いはあるもののアルバム全体のバラエティが少ない。もっと工夫していただきたかった。かと言って二曲目のイントロの唐突なシンセについては不要と言わざるを得ない。

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[2015-10-10]

Iron Maiden,1998年,YouTube

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