...And Justice For All - Metallica

メタリカの「アンド・ジャスティス・フォー・オール」にはベースが入っていないと少し疑っている」と書いたが実際にそうだった。
少し前の記事だが、このアルバムでミキシングを務めたスティーブ・トンプソンという人に対するインタビューがある。
Steve Thompson: 'When Lars Asked Me, What Happened to the Bass in '... Justice', I Wanted to Cold Cock Him' | Interviews @ Ultimate-Guitar.Com
ラーズ・ウルリッヒはこう言ったらしい。

I want you to bring down the bass where you can barely, audibly hear it in the mix.

「ベースの音をかろうじて聞こえるくらいまで下げてくれ」というようなことで「聞こえなくていいや」というニュアンスだろう。
メタリカは新加入のジェイソン・ニューステッドに執拗ないじめをしていたという噂がある。この話を聞くと、いやがらせというよりバカである。自分のドラムスの音は玩具の太鼓もびっくりするような珍妙な音にして目立とうとしてアルバムを台無しにするのであるからラーズという人はやはりバカである。

私がメタリカを初めて聴いたのはこのアルバムである。弟がCDを借りてきてカセットテープに録音したものを聴いたのが最初であり、そのときは楽器が分離せず混沌としていてよく分からなかった印象がある。
その後、CDを買い、良い音で聴いて徐々に分かってきたが、やはりベースは聴こえない。

このアルバムはスラッシュ・メタルの完成形を示している。スピードだけでなく音の圧力、音の密度の大きさ。変拍子を多用したリフ。総じて曲が長く、コンサートで腕や首を振り回すのにちょうどいい。なお私が初めて行ったコンサートはメタリカのこのアルバムのときのツアーである。
ラーズは「全ての楽器がユニゾンで演奏するのがヘヴィ・メタルである」と言っている。スラッシュ・メタルの定義として明快である。このアルバムはその定義を具現化している。
なお彼らは自身の音楽をスラッシュ・メタルと呼ばれることを嫌う。

私はこのアルバムのバンド・スコアを持っている。そこにはしっかりとベース・パートも書かれていることを付記しておく。

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[2016-02-19]

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