In the Wake of Poseidon - King Crimson

キング・クリムゾンと言えばファースト・アルバムに収録された「21世紀の精神異常者」だろうが、私が初めて聴いたのはセカンド・アルバムに収録の「ポセイドンのめざめ」である。
JRだったか旅行会社だったか忘れたが、CMでこの曲が使われていたのである。「演奏:キング・クリムゾン」のようなクレジットが表示されていたに違いない。でなければ、それが彼らの曲だと分かるはずがない。
そして初めて買ったアルバムは「クリムゾン・キングの宮殿」で次が「ポセイドンのめざめ」だったように思う。
ファーストが「イン・ザ・コート・オブ・クリムゾン・キング」、セカンドが「イン・ザ・ウェイク・オブ・ポセイドン」なので「形式を揃えている」と思った記憶がある。
「wake」は目覚めるという意味で、邦題が「ポセイドンのめざめ」というのは良さそうな気がするが、「in the」はどこに行ったのか。調べると「in the wake of」という熟語があり「の後を追って」という意味だった。この場合の「wake」は航跡であり目覚めではない。厳密には「wake」は動詞であるから、この点でもおかしい。したがって今後は「ポセイドンのめざめ」とは書かないことにする。

このアルバムは前作に比べるとスリリングな演奏という点では後退している。2曲目の「ピクチャーズ・オブ・ア・シティ」の一部くらいである。しかし前作にはなかった壮大な作風の曲を聴くことができる。前述のタイトル曲の「イン・ザ・ウェイク・オブ・ポセイドン」である。この曲ではメロトロンが使われていたと認識している。
私はメロトロンの実物を見たことがない。複数のテープに弦楽器や管楽器などの音を各音程で録音しておき、鍵盤を押すとテープが再生されて音が出るという仕組みらしい。細かいフレーズは演奏できないが、どんな音でも再現できる。
若い人はカセットテープを知らないから「テープを再生する」の意味も分からずメロトロンの仕組みなど永遠に分からないだろう。
当時は画期的な楽器であったが、やがて電子的に様々な発音ができるシンセサイザーが開発され、メロトロンは廃れてしまう。
この曲でメロトロンは効果的に使われていた。壮大な音は生のオーケストラとはまた違った味わいがある。

一方でこのアルバムには「キャット・フード」のようなパンキッシュな曲も収録されている。グレッグ・レイクの絶叫を聴くことができる。
そうなのだ、このバンドの初期のボーカリストは後にELPに加入する、グレッグ・レイクなのである。
ELPのアルバム「エマーソン・レイク&パウエル」にホルストの組曲「惑星」の「火星」のアレンジが収録されているが、実は「イン・ザ・ウェイク・オブ・ポセイドン」にも「火星」をモチーフにした曲が収録されている。「ザ・デビルズ・トライアングル」である。後にELPでこの曲が採用されたのはレイクがいたからかもしれない。この曲でもメロトロンが多用されている。

関連記事

[2015-08-27]

King Crimson,1970年,グレッグ・レイク

© 2014 - 2017 You Look Too Cool