ベッドに頭、乳児死なす 大阪、20歳の母 (共同通信)

私はこの母親の気持ちが分からないでもない。多分、発作的にやってしまったのだろうと思う。
例えば、気に入らないことがあって思わず人を殴ってしまったことのある人。
例えば、気に入らないことがあって思わず物を投げつけてしまったことのある人。
例えば、気に入らないことがあって思わずテーブルを殴りつけてしまったことのある人。
こういう人は、この母親と同じことになる可能性がある。大抵はこうなる前に「やってはダメだ」と自分を止めることができるが、余裕がないと止められない。
出産直後の母親はとにかく余裕がない。まず物理的な余裕がない。ゆっくり眠る時間がないとか、忙しいとか。周りの人間、特に父親のサポートは不可欠だ。そして精神的な余裕がない。近所に同じくらいの世代の母親がいれば積極的に知り合う必要がある。妊娠が分かったら、病院に行くのも大事だが、近くの公園に行くのも大事である。
だから、この事件は母親だけが悪いとは言いきれないと思う。

私はこの手の事件には結婚する前から関心を持ってきた。というのは身近に同じような事件が起きたことがあるからである。10年ほど前の話である。
私の父はアパート経営をしている。そのアパートの住人である若い母親が乳児を水の入った洗濯機に入れて窒息死させてしまった。なかなか泣きやまないことに腹を立てて発作的にやったことだった。ワイドショーのレポーターがやってくるほどテレビで大きく採り上げられてしまい、田舎町は大騒ぎになっていた。
原因はその母親は社交的でなく、アパートの他の住人との接触がほとんどなかったこと、父親が夜勤の多い仕事で生活のリズムが不規則でやはり夫婦の会話がなかったこと。
この事件のあと、当然のごとく、夫婦はアパートを出て行き、その後、どうなったかは知らない。
「浴槽でなくてよかったな」などと父は冗談めかして言っていたが、自分のアパートの住人が事件を起こしたこと、起こさせてしまったことにショックを受けていたのは確かである。

子育てのしやすい環境作り、町作り。これが何より大事なのだと私は思う。

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[2004-07-01(Thu)]

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