Sad Wings of Destiny - Judas Priest

ロブ・ハルフォードがさほど好きではない。
ジューダス・プリーストはロブがいなくても成立するバンドである。実際、彼が脱退している間、ティム・オーウェンズがボーカルを担当したアルバム「ジャギュレーター」は名盤と言ってもいい出来である。歌の上手さではロブよりティムの方が上かもしれない。
ロブがボーカルの曲には彼が単に金切り声をあげているだけというものがかなりある。
しかし一方、ロブの声でないと成立しない曲もある。
その一つが「ザ・リッパー」である。
一八八八年にイギリスで発生した連続殺害事件。その犯人とされるのが「ジャック・ザ・リッパー」である。日本では「切り裂きジャック」で知られる。結局、その「ザ・リッパー」は捕まらなかった。

ジューダス・プリーストの「ザ・リッパー」はこの曲をモチーフにしている。
事件が起きた頃のイギリスの粗野で退廃的で危険な雰囲気を、ジューダス・プリーストは見事に再現して見せた。
二本のギターが八音のフレーズを重ねて弾くだけのシンプルなイントロで始まる。パワーコードを八分で刻むというこれまたシンプルなバッキングを従え、ロブ・ハルフォードの特徴的な声が「切り裂きジャック」を語るように歌う。単純な構成にもかかわらず、恐怖、不安をこの上なく感じさせる名曲である。

さて、この曲はアルバム「サッド・ウィングズ・オブ・ディスティニー」収録されている。邦題「運命の翼」。ジューダス・プリーストはヘヴィ・メタルの典型、始祖と呼んでいい存在だが、改めて聴くと、これはまだヘヴィ・メタルではない。
オープニングの「ビクティム・オブ・チェンジズ」は壮大であるし、三曲目と四曲目の「ドリーマー・ディシーバー」と「ディシーバー」は組曲形式である。CDの八曲目「エピタフ」はピアノとロブのボーカルのみである。これも九曲目と組曲形式なっている。
今の分類ならばプログレッシブ・ロックと呼んでもいいかもしれない。ヘヴィ・メタルが成立する前のブリティッシュ・ロックは実は一般的なロックとプログレッシブ・ロックの境目も曖昧であったとも言える。
ところで、このような構成のアルバムの中になぜ「ザ・リッパー」のようなシンプルな曲が入っていたのだろうか。これも当時のブリティッシュ・ロックだから、ということにしておく。

書き出しで過激なことを書いたが、結論がまとまらなかった。私と同じくロブ・ハルフォードが嫌いという人がいることを願う。

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[2015-05-16]

Judas Priest,1976年,ロブ・ハルフォード,ティム・オーウェンズ

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