Images and Words - Dream Theater

ドリーム・シアターが登場したとき、一部のロック・ファンの間で「これは今年最大のニュー・バンドだ」と評判になった。それはメタリカの来日公演の会場でもきかれた。しかし実際にはそうならなかった。その年はちょうどスキッド・ロウのデビューした年でもあった。
そして1992年、ドリーム・シアターはシーンに戻ってきた。新しいボーカリストを迎え、ますますパワー・アップした彼らのサウンドがこのアルバムで聴くことが出来る。相変わらず変拍子を縦横無尽に操る彼らの演奏テクニックは他のバンドの追随を許さない。何より彼らの凄いところはテクニックにのみ頼るのではなく、楽曲をより良くするための演奏に徹しているところだ。ジャズやフュージョンなどのミュージシャンの中にはドリーム・シアターのメンバーより演奏技術の面で優れているものも少なからずいる。しかし、自己満足に陥ってしまい、聴いている者を楽しませるという目的から大きく逸脱してしまっている者も多い。「誰のためでもない、自分のために演奏するのだ」という意識は、実はプロ意識ではない。プロ意識の欠如したミュージシャンに付き合わす耳を多くのファンは持っていないことを彼らは自覚すべきだ。
変拍子の魅力はその緊迫感と危うさ、意外さ、驚きにある。しかしドリーム・シアターの変拍子はそのとてつもない演奏力に支えられて、もはや本来の変拍子の意味を失っている。あまりの安定感のために、危うさとは無縁の変拍子は、そこに緊迫感のみを残し、聴く者の心に突き刺さる。
デビュー・アルバムから彼らの演奏力は卓越していた。メンバー構成はボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムスという5人編成で、この内にはアメリカでもっとも権威のある音楽学校、ジュリアードの出身者を含んでいる。しかしボーカルが弱かった。確かに下手ではないボーカリストであった。ところが他のメンバーのレベルに比べると一段落ちるという印象は否めなかった。
新しいボーカリスト、ジェイムズ・ラブリエは声質、声量とも前任者を凌駕し、その表現力は他のどのボーカリストにも引けをとらない。

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[2014-07-06]

Dream Theater,1992年

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