Eat Me in St. Louis - It Bites

「ロックの名盤のジャケットの三分の一はヒプノシスがデザインし、三分の一はロジャー・ディーンがデザインしている」という無茶苦茶な「定説」を思い付いた。
当たらずとも遠からずという気がする。
ロジャー・ディーンはイギリスのイラストレーターでイエスのアルバム・ジャケットの多くを手がけた。この流れでエイジアのジャケットもロジャー・ディーンである。過去と未来を融合させた幻想的なイラストを描き、また直線を多用したロゴのデザインにも特徴がある。
ロック全般というよりはイエスのようなプログレのアルバムに多く参加している。

プログレから派生したポンプ・ロックの新鋭、イット・バイツのアルバム「イート・ミー・イン・セント・ルイス」のアルバム・ジャケットもロジャー・ディーンによる。
彼らの代表曲である「コーリング・オール・ザ・ヒーローズ」で幕を開ける。
彼らはギタリストがボーカルを兼ねる。これはプログレでは珍しい。通常はボーカル専任かベース兼任である。演奏が複雑で演奏しながらの歌唱が困難だからだ。しかしこのギタリスト、フランシス・ダナリーはこれを楽々とこなす。当時、日本でライブを行った際、レポートに「歌からギター・ソロに移った瞬間、ギタリストを探してしまった」というのがあった。ソロだけでなくバッキングも複雑で歌いながら演奏しているとは思えなかったのだろう。
その様子はYouTubeで探すと見ることができる。シャツの裾をズボンに突っ込んだオタクのような姿に気を取られないように。

ボーカルとギターの切り替えの見事さが楽しめる「ポジティブリー・アニマル」、ハード・ロック的なアプローチと絶妙なコーラスが楽しめる「シスター・サラ」などバラエティに富んでいる。
そして最後の一曲が「チャーリー」である。
ギターが右から聴こえ、一小節遅れて(三拍子)、同じフレーズが右から聴こえる。基本的にこれが続き、中盤から別のギターが被さる。ギターによるギターのための曲である。
このギタリストのエゴのような曲でアルバムは幕を終える。なお盤によってはこれが最後ではないかもしれない。私が昔、持っていた別の盤にはこの曲が収録されていなかった!

そしてギタリスト兼ボーカリストのフランシス・ダナリーはこのアルバムを最後に脱退する。当然のようにバンドは活動を休止。
そしてフランシス・ダナリーはソロ・アルバムを発表。バンドのギター兼ボーカルがソロ活動をすれば元のバンドと同様のクオリティがあるだろう。期待してアルバムを買ったが、そうではなかった。イット・バイツのようにメロディアスでもエキサイティングでもなかった。

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[2017-06-03]

It Bites,1989年,ロジャー・ディーン

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